『星夜行路』扉絵製作

2020年10月03日

凪野基さん(灰青)の聖剣伝説3Trials of Mana 本『星夜行路』扉絵を製作しました。

完成品


製作過程の掲載許可も頂いたので公開します。 


今回は、ご提示頂いた物語の一場面を扉絵として描き起こします。

描き起こす場面だけでも詩的で美しくイメージが湧きやすいものでした。さらに絵に肉付けをしていくためにその時点での全文、また、収録作品を拝読し、該当の場面に至る経緯やその後の顛末から絵を膨らませていきます。


◆構図決め 


→凪野さんより手描きのイメージ画をお預かりしていたので、そちらをベースに構図を決めていきました。

全体の構図決めから入り、人物や背景のタッチ、二人の距離感、手元の星の表現と、何度かお話をうかがったりラフに起こしたりして方向性を探っていきます。


元となったゲームの背景資料を見たり、実際にゲームをしたりして風景を浮かび上がらせていきます。

SFC版を何周も遊んだ記憶を思い返したり、リメイク版で立体的になった町並みを堪能します。


画像はラフと背景の雰囲気を掴むために作った何枚かのメモ描き。オアシスの植物やモンスターたちも描こうとしていた痕跡がありましたが、最後は星夜、オアシス、砂漠に絞りました。


◆下書き~清書

→方向性が固まったら下書きに入ります。

仮決定の絵を、デジタルからアナログに起こします。

デジタルのままで進める選択肢もありましたが、線の流れによって雰囲気が変わる絵になりそうだったので、筆致に勢いを持たせることが出来る馴染みの筆に持ち替えました。


→下書き終了後、一度デジタルにて黒を置き、おおまかな明暗のバランスを見ています。

グレーが粗く出てしまう可能性があったので、とにかく白黒のはっきりした絵になるように調整します。

 アナログ作業は一発勝負ですが、最近はデジタルで塩梅を見てから取り掛かれるようになったので負担が減りました。アナログとデジタルの境界が薄れて、行ったり来たりが簡単です。さいこー!


→黒の置き場所が決まったら清書です。ひたすらベタを入れます。線を潰さないように一か所ずつ黒を入れます。時間はかかりますが、細かな線のニュアンスが残るのでわりとよく使う手です。


→ベタ・スパッタリングが終了した段階で最後の確認に伺います。

全体は明るめ、星を散らした完成品をお納めしました。


製作期間は約一カ月。



◆おまけ

→縦長の画像はトリミング前のものです。完成品と比べると上が長いです。

より人物から遠くに視点を置く構図にしたり、左右に飾り枠をつける・文字入れなどを考慮し、画面を引いて使うなど自由度を上げるために枠外上部を描いていました。

今回は扉絵でしたので、世界に踏み込む一歩として、風景とキャラクターから物語を感じられるような完成品のサイズとなりました。


→星を掴むイメージを某映画から借りたもの。


聖剣伝説シリーズには思い入れがあったので、今回お話を頂いていにしえの血を滾らせながら取り掛かりました。原作を大切にしつつ、彼らの旅のひとときを書いたお話はどれも色鮮やかです。この度はご依頼ありがとうございました。

作品ページ→星夜行路(BOOTH) 


製作履歴



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