6.その後
のもすとカタは今日もゆらゆらと揺れています。雨上がりを待っているのです。
「のもす、鳥が飛んだよ」
「そうだね、じき晴れるね」
「雨雲一つ食べてみようよ」
「そうだねカタ、羽が生えたら、きみはそれを叶えるといいよ」
「のもすは雨雲の味を知っていそうだね」
「きみが食べたら教えるね」
花蛇のもすと、いつまでも羽の生え揃わない鳥の雛カタは、遠くの山をみつめています。
「カタ、きみ、夢を見ているの」
カタは開ききらない目でのもすを見て「起きているよ」と言いました。のもすが何かを言い出すのを待って息をつめてみましたが、やがてふーっと吐き出しました。
「のもすは眠らないものね」
また一息、今度は短めにはいて、「のもす、夢を見ているの?」聞き返しました。
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